
44歳 キャリア 25年。 KIN DA SHER ROCK ここからが本番 4年ぶりの新作EP『nice party』 (テキスト:(佐藤公郎)
[読む前に読む、つまりこんなEPです]
▶『B-BOY PARK』MCバトル準優勝から25年。キャリアの新たなフェーズへ
▶「あの頃はよかったね」だけじゃない。40代ラッパーのリアルな現在進行形
▶沼津のDJ/プロデューサー・WATMAN BEGINZがナイスでパーティなビートを鳴らす
KIN DA SHER ROCKと聞いて何をイメージするか。2001年に開催された『B-BOY PARK』MCバトルで準優勝を手にしたラッパーか、もしくはミュージックスクールでレジェンド・フリースタイル講師として教壇に立つ姿か、あるいはらーめん店「AFURI」のカップ麺のパッケージに大々的に写っている職人か――。他にも渋谷「club bar FAMILY」で20年続くイベント『BIG』を主宰する人物であったり、YouTubeチャンネル「ニートtokyo」に出演した際、タトゥーが刻まれた背中を披露し「ポイントはありますか?」の問いに「ないんですよ」と即答した実直な人柄、という複数の候補はあるが、聴く者との距離感によって、その印象は変わるだろう。
齢44。実にキャリアは四半世紀を数える。本来であればその数字に少しぐらいのあぐらをかいても構わないものの、KIN DA SHER ROCKは至って謙虚だ。その背景をたどると、活動当初から日本語ラップの“シーン”と呼ばれる、いわば昨今の“界隈”的な概念にコンプレックスを抱いていたことに行き着く。
「ラップのスタイルがポップだと笑われたり、たとえ言われなくてもそういう目で見られているんじゃないかという不安があったり、常にウジウジしていたところがありました。本当は『キャリア25年だぜ!』って堂々と言いたいけど、徐行したり迷走したり寄り道もたくさんした。でも、今が一番ちゃんと前に進めている気がします」(KIN DA SHER ROCK)
彼が話す“今”を考えるうえで大きな転機となったのは、2021年にリリースしたシングル「アイデンティティ」だ。同作以降も継続的に作品を発表し、そのセカンド・ヴァースで「ピークはまだこれからかもね」とラップしていたことを思えば、この新作EP『nice party』へと続く現在地をすでに予告していたようにも思える。そんな今作は沼津出身の気鋭DJ/ビートメイカーのWATMAN BEGINZが全曲を手がけ、KIN DA SHER ROCKの現在の心境に呼応するようなエモーショナルでメロディアスなトラックを紡ぎ出している。
「昔からDJのパーティやイベント、ラッパーやシンガーのライブ、とにかくクラブイベント・カルチャーが大好きだったので、40代になった現在進行形の素直な気持ちをリリックに投影しました。『あの頃はよかったね』もたくさんあるけど、『これからだ』という思いもあります。自分が年齢を重ねたからなのか、ジャンルやシーンという概念が曖昧になってきた時代性なのか、ようやく最近になって控えめすぎるマインドから解放された気がしてます」(KIN DA SHER ROCK)
“ピークはこれからだ”と堂々と言える男、もはや「2001年の『B-BOY PARK』MCバトルで準優勝」という聞き慣れた肩書きは不要だ。これまでに複数存在したKIN DA SHER ROCKのイメージを「nice partyな男」へ更新する一作。自らを縛り上げてきたマインドからの解放を、現在のキャリアだからこそ響かせられる言葉と音楽で堂々と宣言している。
(佐藤公郎)
●作品情報

KIN DA SHER ROCK
『nice party』
(GOLD CHILLIN’)
2026.10.2(Fri.)Release
Tracklisting
01.nice partyは続いて
02.I hope
03.on & on to da break down
04.夢の果てなら feat. MEL
05.that’s me
All tracks produced by WATMAN BEGINZ
All lyrics by KIN DA SHER ROCK
track 4 : lyric by KIN DA SHER ROCK, MEL
track 5 : chorus by BAMBOO Mixed & Mastered by SRAD studio Jacket design by YOTS
URLs:
https://ultravybe.lnk.to/niceparty
●KIN DA SHER ROCK
東京都出身。本名は金田一。長い経歴とたくさんの記憶を武器に、だいたい前向き、たまに名作。
〜 KIN DA SHER ROCK コメント 〜
今の自分にとっての”リアル”や”等身大”が詰まってるのは勿論ですが、夢も希望もこの先の展望も今でこそポジティブに!と思い、リリックにしました。同世代は特に、境遇は違っても、結構多くの人が似たような事を感じてると思う。たぶん。
制作開始当時、WATMAN BEGINZが聴かせてくれたトラック集がとても好きで、そこからトピックスや全体像が明確になりました。
制作途中にも、人並みにいろんな事が起こって、その瞬間瞬間に感じた事も入ってたりしますが、40代、まさにミッドライフクライシスど真ん中、でもピークはきっとまだこれからなのです。
●WATMAN BEGINZ
DJ&Sound Producer。Based in Tokyo。
静岡県沼津市でDJとしてのキャリアをスタート。HIPHOP、R&Bをルーツに、UK GarageやHouseなどのクラブミュージックまでジャンルを横断した楽曲を制作している。90〜2000年代の音楽から受けた影響を、現代的なサウンドへと落とし込んだスタイルを展開。
2019年にはバルコニーにフィットする音楽をコンセプトにしたレーベル「Good Balco Club」をローンチ。
自身のBEAT TAPEシリーズ「TAXISTA」をはじめ、オリジナル楽曲、Remix、Editなど、DJとして培った感覚を軸に幅広く作品を発表している。
https://www.instagram.com/watman_beginz/
〜 WATMAN BEGINZ コメント 〜
リリックに合わせてビートの雰囲気をマッチさせることができたと思います。パーティー感を出しつつも、どこか感じる哀愁みたいのを楽しんでいただければと思います。

●KIN DA SHER ROCKプロフィール
1982 年生まれ。2001 年、当時国内最大の EVENT であった B-BOY PARK の MC バトルで準優勝。その後全国的にライブ活動を展開。TV 番組”流派 R”や関連 EVENT への出演、 日本語ラップミックステープの草分け的存在となった”REVOLUTION”シリーズへの 参加等、当時のシーンにおいては若くして活躍したと言って過言ではないはずですが、その後空白の時代も少し経て、30 代後半になってから再始動。 現在は渋谷 FAMILY 第 2 金曜の人気 EVENT”BIG”のヘッドライナーであり、 楽曲リリースも活発化。 その傍ら、東京都立川市にあるDECO MUSIC SCHOOL で RAP コースの講師を務めたり、制作仕事もいくつか。2027年公開のミュージカル「三銃士:Reborn」にラップ制作として参加しています。
https://www.instagram.com/kindasherrock/
https://x.com/KINDASHERROCK




